はじめての引っ越し

引っ越しというものを、ずっとしたことがありませんでした。 私の親はサラリーマンではなかったため転勤とは無縁でしたし、東京生まれで東京育ちなので進学や就職に際してわざわざ実家を出なければならないという必然性もなかったためです。

ですから私にとって引っ越しとは、友人の誰かがするときに手伝いにいって、すべてが終わったあと一緒にそばをすするもの、といった程度の認識でしかないものだったのです。 しかし昨年、ついに生まれてはじめての引っ越しを経験しました。 仕事が軌道にのってきて、もう少し広い部屋に住みたいと考えるようになったからです。 まったく経験がないことをしようとするといろいろ迷ってしまうものですが、今は便利な時代です。 インターネットがあればそれだけで具体的な手続きや業者の選び方が調べられました。

実際の引っ越し作業自体は非常に迅速かつ丁寧に完了し、あまりにあっけなくて物足りなかったほどです。 ですが、それから一晩寝て朝起きると、引っ越したんだという実感がわいてくるものですね。 新しい家で浴びる朝日は不思議なものでした。 今はもう、その朝日にも慣れて、すっかり居心地のよい自分の城となっています。